ジバール・ナブルスとクナーフェ

さて今回の投稿では、ナブルスの街の概要と名産品クナーフェについて紹介していきたいと思います。

タイトルに書きましたジバール・ナブルスはアラビア語で、日本語にすれば「ナブルス山系」といったところでしょうか。パレスチナを訪れたことのない人には想像が付きにくいかもしれませんが、西岸地区を含め、パレスチナ地域の内陸部の多くはいくつもの山(丘陵)が連なる起伏の多い地形です。北部のガリラヤ地方などは平野が広がっていますが、例えばエルサレムなどもジバール・アル=クドゥスなどと呼ばれていますし、西岸南部のヘブロンなども標高は1,000メートル近くあります。

そうした中で、ナーブルスという町はジャバル・イーバール(Mt. Ebal)とジャバル・ジェリズィーム(Mt. Gerizim)という2つの山に挟まれた、いわば谷間に位置する都市です。下の写真で谷底平野に位置するナーブルスの様子がお分かりいただけるでしょうか。この2つの山のうち、ジャバル・ジェリズィーム(Mt. Gerizim)の頂上付近には世界でも2箇所しかないと言われているサマリア人*のコミュニティが今なお存在しています。ちなみにこのサマリア人の集落が、ナーブルス近郊で唯一お酒を飲める場所です(笑)。

*ユダヤ教徒の一派ですが、日常ではアラビア語を使っており、アラビア語を母語としています。サマリア人自らの歴史認識では、アッシリア帝国による古代イスラエル王国の滅亡を生き残りだとしているようですが、私自身、パレスチナの古代史に関してはまだまだ知識が浅いので、参考程度にして頂ければ幸いです。

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出典:http://looklex.com/e.o/nablus.htm

では、ナブルスは西岸のどの辺にあるのかと申しますと、エルサレムの北50キロ程のところに立地しており、エルサレムとダマスカスの中継地点としても機能してきました(その証拠にエルサレム旧市街のダマスカスゲートはナーブルスゲートとも呼ばれています)。現在でも西岸地区で2番目に大きな人口を有する街で(ちなみに1番はヘブロン)、パレスチナ地域の文化・経済の中心地としての役割を担ってきました。

さて、そんなナーブルスの名産品として世界中(少なくともアラブ世界)で有名なのが、オリーブ石鹸とアラブのお菓子クナーフェです。オリーブ石鹸に関しては書き出すとまた長くなるので、石鹸工場を見学した祭の話も交え、別の回の投稿に譲るとして、ここでは一度食べたら病みつきのクナーフェについて、ナブルス旧市街の街並みの写真を交えながら説明していきたいと思います。

では、まずクナーフェとはいかなる食べ物であるかを説明しなくてはなりません。暴力的なまでにディテールを無視して、一言でこのお菓子を形容するのであれば「アラブ版チーズケーキ」とも言えるでしょう。とは言え、これだけでは何も伝わりませんのでもう少し詳しく説明しますと、クナーフェは2層の層からなっていて、下にモッツァレラに食感の似たチーズの層が、上には小麦粉から作られたサクサクした生地の層があり、その上からとどめの激甘シロップをかけて完成です(中東のお菓子は基本的に歯に染みるくらいの甘さであることが常です)。

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さてこのクナーフェというお菓子ですが、アラブ地域以外にもトルコなどでもデザートとしてよく見かけることができます。ただなぜ、ナーブルスのクナーフェが有名かというと、ここナーブルスがクナーフェ発祥の地とされているからです。今までヨルダンやトルコでも何種類かクナーフェを食べましたが、今のところナブルス旧市街のクナーフェが、素朴ではありますが一番美味しいと思っています。

上の写真はそのクナーフェの名店の店頭で群がる男性たちの図ですが、こうした激甘スイーツに群がるのがほとんど男性であるというのが面白いところです。ただ、当然たっぷりのシロップとチーズを使っていますから、クナーフェ自体かなり高カロリーなデザートです。美味しいからといって食べ続けると加速度的に体重が増えていく代物ですので、注意が必要です。

さて、今回の投稿でも大したことが書けずに無駄なことばかりに筆が滑ってしまいましたので、この辺りで一区切りをつけたいと思います。次回もよろしくお願いします。